2014年06月30日

旋律のリフレイン(1)サイボーグ

旋律のリフレイン(1)サイボーグ

 機械設備の広大な通路の中、リフレインは逃げ惑っていた。

「はあ、はあ、どっちに行ったらいいんだ」

 道が二手に分かれている。リフレインはこの設備についての知識が無い。ここが広大な地下施設だという事しか知らない。

 追っ手から逃げているのだ。何としても地上へ出て誰も追ってこられない所まで逃げきらなければならない。

「どっちだ。どっちに逃げればいいんだ」

 間違えるとまた敵が待ち構えているかもしれない。敵がいないのはどちらだろう。きっとどちらかは正解なのだ。今まで出会った敵たちはみな、遭遇すれば道を間違えたからだと言ったのだから。

「くそ。どっちなんだ。お願いだ。教えてくれ」

 ここにはリフレイン一人しかいない。誰に呼びかけても答えはしない。しかしリフレインは壁に手をつき額も押しつけ願うように目を瞑る。

 頭の中に声が響く。

「リフレイン……右だ……右へ行け……」

 かすかに聞こえる男の声。老人の声に聞こえる。幻聴だろうか。恐怖にせっぱ詰まった頭の中に造り出される妄想なのだろうか。

 この老人の声は呼びかけたからといって必ず答えてくれるわけではない。しかしたびたび危機に対し助言をしてくれた。そのおかげでまだ無事に逃げ続けている。

 この声が誰なのか、どうして頭の中に聞こえるのかまるでわからない。しかし時々聞こえるこの声に実際助けられている。リフレインは幻聴だろうが妄想だろうがすがりつくしかなかった。他に道標は無いのだ。

「右だね。わかった。ありがとう」

 本当に右が正解なのか、安全なのか。わからない。しかしこの声に従って助けられた事はあれど危機に陥れられた事は無い。それを何度も経験して、リフレインはもう疑う事無く頭に聞こえる謎の声を盲信していた。

 二手に分かれた通路の右を選ぶ。そっちを向いて駆け出す。

 ガチャンガチャンと金属の音が響く。複雑な模様に見える機械で出来た通路を、同じく模様に見える複雑かつ美しい機械の脚で駆ける。

 リフレインは、かわいらしい少年の顔とわずかな前髪以外は全て機械で出来ていた。漆黒で鈍く光る機体。壁や天井に明るい照明が埋め込まれている中で目立つ漆黒の流星のように高速で疾走していた。

 サイボーグ。それも全身を機械化し、人間の部分は脳しか残っていない。

 身体の一部だけを機械化したサイボーグは多くいる。脳波を伝達して機械の身体を動かす。それはとても難しく脳の負荷が高い。たいていの人間は身体の一部を機械化し、それをぎこちなく単純な動作で動かすのが精一杯だった。

 優れた脳なら機械の身体を上手く扱える。身体の一部を機械化したサイボーグの兵士は生身の人間よりはるかに強い。兵器を搭載しそれを素早く自在に扱うと、手に持って兵器を扱うよりはるかに早く強い。サイボーグ兵士は戦場で活躍する有能な戦士だった。

 機械の身体を自在に扱える人間はまれで、全身を機械化するなら脳はとても扱えない。それが出来る人間は本当にわずかしかおらず、とても貴重だった。

 身体の多くを機械化、兵器化するほど強い。全身を機械化し、どんな動きと負荷にも耐えられる鋼の肉体を持つ全身サイボーグの兵士はあまりにも強靱だった。戦車や戦闘機すら圧倒する戦力。戦艦や空母に乗り込んで内部の重要機関に潜入して破壊したりさまざまなミッションをこなしたり出来る機動力と応用性。

 どんな兵器でもかなわない、人間の知性とサイズと自在性を兼ね備えた史上最高の兵器、それが全身を機械化したサイボーグなのだ。

 リフレインはそんな物になりたくなかった。兵士でもないただの少年だった。住んでいる村が敵の軍隊に襲われ皆殺しにされた。自分を守った両親も目の前で殺され、彼自身も殺されたはずだった。

 殺された恐怖から目が覚めたとき、彼は肉体を失っていた。身体の全てを機械化されて、顔すら生身の顔を再現した人工物だった。

 機械の身体を扱うのは脳への負荷が高く、身体の一部でも兵器として扱えるだけで重宝される。全身を機械にして扱える人間はとてもまれで、どの国のどの軍隊も欲しがる。

 だから軍は、侵略し虐殺した人間の脳を集める。もちろんその全てを精査するなど出来はしない。適当に、ランダムに、いい加減に、殺した人間の内無事な脳を集めて検査し実験に使う。

 脳は死んだら壊滅的な損傷を受けるが、全身サイボーグにする場合は問題ではない。脳の一部も機械化するので、死んだ事によりダメージを受けている部位は機械で置き換える。

 もちろん生身の脳が必要だ。機械化出来ない部位の損傷はどうにもならない。それはそれでかまわない。兵士として機械の身体を全部動かせ戦えれば、人間として大事な物が欠損しようが構わない。

 頭の中に響く謎の老人の声。死んだ事による脳へのダメージのせいだろうか。自分の直感や知覚が知らない老人の声になって聞こえるよう脳がおかしくなった。そういう事だろうと思えた。

 何でもいい。この声はたしかに自分を助けてくれる。この声に従えば今まで上手くいっていた。だから今回も大丈夫なはずだ。たまにしかアドバイスをくれないが、それでも十分過ぎるほど助けられてきた。

 リフレインは駆ける。身体はとても軽く自在に動く。人間だった頃の肉体とは大違いだ。生身の身体よりもはるかに思い通りに動くし、力も早さも比べ物にならないほど凄い。

 この躍動感。疾走感。人間を超えて生まれ変わった感覚。最高のマシンを得てそれを乗り回すこの手応え。大人も子供もきっと夢中になるだろう。

 そんなのうれしくない。こんな超人的な身体なんて欲しくない。生身の人間がいい。人間として生き人間として死にたかった。

「父さん、母さん……」

 もう悲しまないと決めたのに、また悲しくなる。目の前で両親が無惨に殺された光景が忘れられない。

 忘れてはいけない。でも悲しんでもいけない。怒れ。怒らねばならない。

 両親の復讐。自分の復讐。両親と、人間だった自分を殺した仇。村のみんなを殺した仇。

 怒り復讐に燃えねば悲しみに押し潰される。戦うどころか逃げる事すら出来なくなる。だから心優しい少年だったリフレインは、無理にでも復讐を誓いそれを原動力として生きる事にした。

 戦争で虐殺した人間の脳を集めて実験し、全身を機械化したサイボーグの兵士を造る。どの国もやっている事だ。リフレインの住む国だって敵の国民を殺しては脳を集めて実験に使っている。

 機械の身体を操るのは脳への負担が大きく、全身サイボーグの身体に脳を組み込めばたいてい脳は耐えられない。発狂したのち壊死する。あまりの負荷に脳が破裂する事もある。

 成功率があまりに低すぎる非人道極まる悪魔の実験。だからどの国も自国の国民ではなく殺した敵国の死体の脳を実験に使うようになった。自国の民でなく生きている人間でもない。それが戦争において倫理的に許されると主張出来るぎりぎりだった。

 脳の一部も機械化して完全に洗脳する。命令に従う奴隷に出来る。だから敵国の人間の脳だというのは問題ではない。殺された恨みがあっても殺した国の軍に属し、忠誠を誓い忠実に行動する事を余儀なくされる。反逆は不可能だった。

 なのにどうして、リフレインは洗脳されていないのだろうか。どうして自分を殺しサイボーグの実験に使ったこの国を恨んで脱走出来るのだろうか。

 わからない。何もわからない。リフレインはただ目覚めて自分や両親が殺された事、自分の身体が全身サイボーグにされていた事に愕然としただけだ。

 見張りも誰もおらず、部屋の扉は開いていた。リフレインはおそるおそる逃げ出した。

 そしてこの広大で迷路のような機械施設を逃げ惑った。当然リフレインの居場所や動向は把握されていると思うのに、機械施設は隔壁を閉じるとか搭載されている兵器で攻撃してくるといった事は無かった。

 代わりに、行く道で待ち構えていた他のサイボーグが襲ってきた。リフレインと同じく全身を機械化したサイボーグたち。顔は人工的に造られ、しかし生前の顔と表情をそのままに再現していた。

 美しい女たちだった。ここへ来るまですでに三人と出会い交戦していた。いずれも女のサイボーグだった。

 機械化した身体を操るのは男より女の脳の方が得意であり、全身をサイボーグ化出来るのはたいてい女だった。

 リフレインのように男で全身サイボーグは珍しい。脳は男女で違い、男の脳が全身サイボーグに適するのは女よりはるかにまれだった。

 適して生きられたのは幸運なのか。不幸なのか。

 おそらく不幸なのだろう。死の恐怖を味わったリフレインはサイボーグとして再び生を受けたせいで、また死の恐怖を味わうはめになっているのだ。

「はあ、はあ」

 息が荒い。外気を取り込むほど身体の動きが良くなる。酸素は脳の維持にも必要だが、機械の身体の出力を上げるのにも必要となる。

 リフレインは広大な機械の道を駆ける。機械の脚が踏みしめるたびガチャンガチャンと金属音が鳴る。肉体の感覚は失われたのにこのしっかりした足応えを脳は感覚として受け取る。

 頭の中に響く謎の声に従って選んだ道だ。今までそれで選んだ道に敵は待ち構えていなかった。今回だってきっとそうだ。たまにしか教えてくれない事だけが難点だった。

 しばらくは敵と遭遇しない。戦闘と死の恐怖を味わわずに済む。リフレインは走りながらしばしの安全に安堵した。

 たしかに敵はいなかった。

 敵がいるなら離れていても知覚する機能が備わっている。

 サイボーグは他の敵や危険を少なくとも百メートル先まで知覚出来る。もちろん全身サイボーグの機動力ならその距離を詰めるのは一瞬で事足りる。しかしその一瞬で身構え迎撃する体勢を作る事が出来る。

 サイボーグ同士の戦いに不意打ちは無い。あり得ない。サイボーグが百メートルの知覚射程に敵を捉えた後、迎撃出来ない速度で近づくなどいくらサイボーグでも不可能だ。

 しばらく敵がいないはずだし知覚もしていない。だからリフレインは安堵して、前を向いて走っていた。

 そして知る。敵は待ち構えているばかりではないと。知覚射程に入った後、迎撃が間に合わない速度で突進してくる機能があり得るのだと。

 リフレインは背後に敵の気配を感じ、驚く間すらなくあまりに高速で突撃してきた敵に胴を真っ二つに切断された。

posted by 二角レンチ at 21:52| 旋律のリフレイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月28日

旋律のリフレイン(0)あらすじと人物紹介

旋律のリフレイン(0)あらすじと人物紹介

あらすじ

 サイボーグの開発と実用が現実となった科学の発展した世界。過去の凄惨な戦争を反省し、戦争はルールに則り国同士が競い合い楽しむゲームとして行われていた。

 戦争のマナーとして、戦争をしている各国は相手国に対し一定の虐殺を許す。失っても困らない小さな村や町を相手に献上し、兵士に虐殺をさせてストレス解消とする。

 兵士のストレス解消に差し出された村の虐殺。そんなくだらない理由で気弱でも優しかった少年リフレインは、両親と共に殺されてしまう。

 リフレインは殺される事に絶望した。しかし目覚めて自分が機械の身体にされた事に再度絶望する。

 虐殺した村の一般人の脳をいくつか回収し、サイボーグへの搭載実験に使う。サイボーグの機体を動かす脳の負荷はとても高く、たいていは実験に失敗し使った脳は壊死か破裂してしまい廃棄される。

 全身をサイボーグとして脳を搭載して操る。それが全身サイボーグ。身体の一部だけを機械化した部分サイボーグは元より、戦闘機や戦車すら圧倒する機動力と戦闘力を持つ。核兵器を始めとした大量殺戮兵器の使用は禁止された戦争において投入可能な最強の兵器である。

 機体への搭載実験に成功した脳は洗脳され、自分を虐殺した国の兵士として戦う事を強制される。実験に成功して生き返った事は幸か不幸か。誰もが目覚めて機械の身体にされた事を絶望し恨み、でも洗脳されているから復讐も出来ない。

 リフレインだけは違った。サイボーグの機体への搭載実験に成功しながらも洗脳されていなかった。

 リフレインは他の誰とも違う。脳のハイブリッド。他人の脳の一部を脳に混ぜ込み機械も埋め込んで強化した、一人の人間の脳の限界を超える実験。

 その実験の唯一の成功例。一人の脳では扱えない理論上最強の機体を与えられ、それを動かす事を可能とする脳のハイブリッド。その機体を動かす脳の負荷はあまりにも高く、洗脳する余地は残されていない。

 洗脳されていないリフレインは機械の身体にされた運命を呪う。自分と両親を殺したこの国を恨み復讐を誓う。

 目覚めた部屋には誰もおらず、扉は開いていた。わけがわからない。でも洗脳されていないから脱走出来る。気弱な少年は絶望と苦痛にまみれながらもとにかく逃げ出したかった。この部屋から。殺された事から。運命から。何もかもから。

 おそるおそる部屋を出て脱出を試みるリフレイン。途中の道は二つに分岐し、どちらへ進めばいいのかわからない。

 そのとき、脳の中に声がした。知らない老人の声。脳のハイブリッドにより自分の脳に混ぜられた知らない他人。

 脳が他人に浸食される。それは自分が他人に無理矢理犯されるような物。リフレインの絶望はますます深まる。

 しかし頭の中に聞こえる老人の声は、ときどきしかしゃべらないが敵のいない道を教えてくれる。他に頼る人のいないリフレインは気が狂いそうになりながらもその声に従う。

 分岐した道の片方には敵が、全身サイボーグが待ち構えている。もう一方には敵はいない。脳の声が教えてくれる道には敵がいなかった。この声は敵を察知する能力に優れている。

 脳の声が何も言ってくれず、自分で適当に選んだ道には敵の全身サイボーグがいる事もあった。そうなれば戦闘だ。リフレインは喧嘩も出来ない気弱な少年だったが、機械の身体で慣れない戦闘をする。

 途中三人の全身サイボーグと出会い戦闘した。いずれも外れの道を選んだから戦闘になると告げられ戦った。敵は明らかに手加減しており、リフレインは何とか退けながら道を進む。

 これは脳のハイブリッドのテストらしい。どうせ脱出なんて出来ない。でも他にどうしようもなく、リフレインは絶望に押し潰されないよう機械の脚で機械の施設の中をただひたすらに走り続ける。たどり着けない出口に、未来に向かって。

説明

 全身を機械化した戦闘兵器、全身サイボーグたちの戦いと生き様を描いたバトル小説です。脳以外に人間の部位は残っておらず、しかしだからこそより鮮烈に人間として生き苦悩し道を切り開く彼ら彼女らの戦いをぜひお楽しみください。

 以下人物紹介です。イメージラフがついていますので、小説を読む際キャラのイメージを絵で見ても大丈夫な方のみごらんください。

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posted by 二角レンチ at 23:03| 旋律のリフレイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月08日

飛行艇の裏切り者(29)哲学

飛行艇の裏切り者(29)哲学

 最後の決死行。もうかなわないほど強くなってしまった怪物に、それでも逃げずに立ち向かう。逃げて背中から殺されるなど戦士として恥だ。だから死ぬなら前向きに。死に立ち向かう勇気を持ったまま死にたい。

 パーシバルもマルガリタもこれで殺される事はわかっていた。でも最後だから思い切り、全力で攻撃した。

「おおおおおおおおおお!」

 パーシバルが突進する。モニカの身体を乗っ取った怪物は両手からレーザーを放つ。

 話をしている間も強く成長した怪物は、さっきまでとは速度が違う。もはやそのレーザーは反応出来る物ではなく、パーシバルはあっけなく胴に穴を開けられ左脚を切断される。

 それでも止まらない。もう死ぬ覚悟はしており、致命傷を受けるのも覚悟の上だ。せめて一撃。たった一撃でも届けばいい。

 パーシバルは左腕を突き出す。それがモニカの顔に届く前に、氷の剣で切断される。

 そしてもう一本の氷の剣がパーシバルを頭から真っ二つに割る。ただの一撃も届かず、その攻撃は圧倒的攻撃で軽くいなされる。

 マルガリタは、モニカの姿をした怪物がパーシバルを殺している隙をついて接近する。しかしパーシバルが命を捨ててもなお隙など生まれない。あまりにも素早く反応する怪物は、氷の剣を瞬時に消してレーザーを撃つべく手を向ける。

 マルガリタは死を覚悟した。しかし目は瞑らない。最後の最後まで自分の哲学を、強い意志を貫き通して死ぬ。

「パーシバル」

 モニカの口から、モニカの声でその名が呼ばれた。

 あり得ない。モニカはもう死んでいる。魂は怪物に乗っ取られた際食われた。モニカの意識も感情も残っているはずがない。

 しかしその身体はモニカの物だ。身体は覚えている。愛した男の事を。それを殺した手応えに反応し、その死を悲しんで涙をこぼした。

 かざした手からレーザーが放たれない。マルガリタの火炎がモニカの身体を焼く。

「ぐおおおああああ!」

 卵と融合した意識であるウレミオの声で絶叫する。焦げた手が動き、自分の腰を握ろうとする。

 あの手は握った者を癒す。そうはさせない。マルガリタは怪物を火炎で焼きながらスカートをひらめかせ蹴りを繰り出す。

 焦げた手はマルガリタの鋭い蹴りでボロリと砕ける。その傷口から真っ赤な血が、いや、血のようでいて溶けた形状をした卵が飛び出す。

 これを浴びると身体を乗っ取られる。新たな親とされ怪物に変質させられる。マルガリタは脚をひねってそれをかわした。

 溶けた卵はべちゃべちゃと床に飛び散る。親の肉体が死ぬとき体外に飛び出し、親を殺した肉体を乗っ取る。それに失敗し、卵はもう動けない。凝集し、再び大きな卵の形となり休眠する。

 焼けたモニカの身体がボロボロと崩れさる。同時に空中を舞っていた真っ二つのパーシバルの身体もどさりと床に落ちる。

「パーシバル様……」

 マルガリタは荒い息をつく。手をかざし、優しい炎で無惨なパーシバルの亡骸を火葬する。

「ありがとうございました。あなたがモニカ様を好きだと言った事がきっと、モニカ様の身体に響いたのです。ですから最後の瞬間、モニカ様の身体は愛する人の命がけの攻撃に応え、動きを一瞬止めてくださったのです」

 そんな事があり得るのだろうか。しかし確かにモニカの声でパーシバルの名を呼び、レーザーを放とうとした手はそれを撃たなかった。普通なら太刀打ち出来ない怪物が、動きを止めたからこそ焼き尽くして殺せたのだ。

 床に転がっている卵は動かない。親を失い卵に戻れば休眠し、再び能力者が直接触れるまで目覚める事はないのだろう。

 マルガリタは滅茶苦茶になった部屋のベッドからシーツをはがして慎重に、触れないようにして卵をくるむ。そしてさらにそれが入る大きな箱にしまう。

 卵を入れた箱を前に、マルガリタは亡くなった者たちを偲んでぽろぽろ涙を流す。しかし多くの犠牲の上で助かった命だ。その遺志を背負っている。いつまでも泣いていられない。

 ウレミオが推理した通りならその恐ろしい計画は何としても阻止しなければならない。この卵を最強の能力者マハールと融合させてはならない。連合の追っ手からいつまでも守り抜かねばならない。

 どうすればいいのかわからない。この卵自体を殺す事は不可能なのだろう。それが出来ればこんな計画が推進される前に殺しているはずだ。

 この卵を消せず、いつか破滅は訪れる。それならば、生きている内にその未知かつ最大の恐怖を目の当たりにしたいという最悪の欲望を呼び起こしてしまった。人は人智を超えた物に魅了される。多くの者がいもしない神を崇めるように。

「天の啓示能力は、神様の啓示なのでしょうか。神様がいるとしたなら、破滅を免れる術が残されているという事なのでしょうか」

 それは儚い希望だった。でもすがりつきたかった。ボロボロの心では哲学を貫けない。しかし強く立たねばならない。仲間の犠牲を無駄にしてはいけない。マルガリタはもう何もかも放り出して死んでしまいたかったが、それでも無理に気力を振り絞って立ち上がった。

「アッシラ様。聞こえますか。応答願います」

 通信装置で呼びかけても反応が無い。こんなの一人では抱えられない。誰かと相談したい。誰かにそばにいてほしい。なのにアッシラは応答しない。

「リアリス様。アッシラ様。応答して下さい。マルガリタです。お願いですから声をお聞かせください」

 マルガリタは抱えきれない重荷に心が押し潰される。すがりつきたいのに二人とも応答してくれない。

 確かめるのが怖い。でもじっとして、一人で抱え込んでいると心臓が潰れそうだ。マルガリタはやむなく歩き出す。卵を入れた箱を抱え、アッシラたちと別れた場所へ向かう。

 考えたくなかった最悪を目の当たりにして、マルガリタは呆然と立ちすくんだ。

 リアリスは壁に頭をぶつけて頭が割れていた。脳がはみ出し死んでいる。その手前にはアッシラが首から大量の血を床にぶちまけて絶命している。死ぬまで暴れ転げたらしく全身が自分の血で赤く染まっていた。

「アッシラ様……どうして? 一人で大丈夫だとおっしゃったではないですか……」

 マルガリタは卵を入れた箱をどさりと床に落とす。そしてアッシラの亡骸に覆い被さりわなわなと震えた。

「ううー、うえええ、どうして。私一人残してみんな先に行って。楽になって。私こんなの抱えきれません。守りきれません。私はどうすればいいのですか。アッシラ様。誰か。私を助けて下さい。教えてください。道を示してください。哲学なんて貫けません。私はもう、戦えません」

 さっき怪物に殺されていればよかった。どうして勝利してしまったのだ。おかげで死んでいない。耐えられない現実に一人取り残されてしまった。

 落とした箱から、シーツでくるんだ卵が転がっている。マルガリタはそのシーツに手を伸ばすとするすると引っ張る。

 ごろりと、シーツから輝く卵が出てきた。卵は床の上で揺れていたがやがて止まった。

「こんなの、強大な国と組織の連合から守りきるなど出来ません。かといってこの特異嵐でさえこれを破壊出来ないでしょう。もし出来るとして、深い海底に沈めても、宇宙に撃ち出しても、きっと回収されるでしょう。消せない。隠せない。守れない。こんなの私に託されても困ります。私はどうすればいいのですかビルバジオ様」

 哲学を貫いた末の結果。それがこれだ。抱えきれない重責に押し潰されて心が潰れてしまった。

 もう自殺しようか。仲間が命を賭けて託してくれたこの責任を放り出し、みんなの死を無駄にしてでも楽になりたい。

 でもそれは出来ない。してはいけない。

「それは駄目、ですよね。ビルバジオ様……」

 彼は死んでも哲学を貫き通した。マルガリタもそれを貫く。その末にどんな結果が待っていようとあの世で誇りに思えるよう、最後まで強く貫き続けるのだ。

 涙を拭い、マルガリタは必死に考える。推理する。妄想する。

 この卵をマハールに融合させず、連合の追っ手からも守り抜く。誰にも渡さず、人類の破滅を招くこの卵を生まれさせない。

 そんな方法があるのだろうか? しかしそれを見つけなければならない。

「あ……」

 マルガリタは呆然とする。

 いや、無理だ。これは制御出来ない。ウレミオはさんざん、身体が勝手に動いて自分でコントロール出来ないと言っていたではないか。

 しかしウレミオは、自分が推理した危機を話して聞かせた。卵とその親である怪物の能力もわかった限りを説明した。

 モニカは死んでも、愛した男の死に報いるため乗っ取られた身体の動きを一瞬止めたではないか。怪物は乗っ取った肉体を完全にコントロール出来るわけではないのだ。乗っ取られた肉体はなおそのコントロールにあらがえるのだ。

「初めの親は卵と融合したあとも意志と思考を残す。ウレミオ様の意識は残り続けました。意識があるなら意志がある。強い意志は肉体をも突き動かす。肉体のコントロールを奪える」

 どう考えても無理だ。しかし他に方法は無い。強い意志が、卵の能力でも支配されない強い哲学を貫き通せれば、肉体のコントロールを維持出来るかもしれない。

「卵と融合して親となる。親はどんどん成長し、能力を高める。人間の能力も科学力も超えた怪物となり、人間の手の届かない場所まで逃げ延びられる」

 宇宙へ出て地球からはるか遠くへ旅立つ。どこまでも逃げる。そして太陽に飛び込めば、いかに不死身で規格外の卵とはいえ殺せるかもしれない。

 あまりにも妄想。卵が親にする怪物は肉体をコントロールする。それは強力であらがえない。ウレミオは抵抗出来なかった。しかし彼より強く、誰にも、いかなる力にも能力にも曲げられない本当に強い哲学を貫き通せれば、あるいは可能かもしれない。

「肉体のコントロールを意志の力で奪い取り、強くなった肉体で宇宙へ逃れる。地球から、人類から離れ、この卵を太陽まで運んで消滅させる」

 おそらく不可能だろう。あのビルバジオでさえ卵の能力にかかればその哲学がへし折られるに違いない。彼以上の強い哲学を、意志を、使命を貫かねばならない。

 ただの妄想。自殺して楽になりたいからこんな馬鹿げた事を考えるのだろうか?

「それでも、哲学を貫く。その結果がどうあれ哲学を貫いたならそれは誇れる事となる。そうですよねビルバジオ様。他に方法が無いなら、私は私の哲学に基づいて、これに挑戦します」

 肉体のコントロールに失敗したら、卵は親を渡り歩きいずれマハールにまで到達するだろう。しかしその間に、その脅威に人類が立ち向かい何とかしてくれるかもしれない。自分が失敗しても他の誰かが何とかしてくれるかもしれないと思えば、ほんの少しだけ心が軽くなった。

 上手くいってもいかなくても、哲学を貫いた結果なら受け入れられる。それは失敗ではない。過ちではない。必然であり、やるべき事であり、誇れる偉業となるのだ。

 マルガリタは決意する。犠牲になった仲間の顔を思い浮かべる。自分が彼らの犠牲の上で生き延びたのならそれは必然。最高の結果に繋げるバトンをここで途切れさせてはいけない。

「私はマルガリタ。全ての人に感謝します。私を助け導き今ここに生き残らせた事を。この卵に挑む事は必然でした。その挑戦も必然なれば、結果も必然。たとえ悪い結果でも、それはなるべくしてなった、誇れる事なのです」

 マルガリタは己の哲学を貫き通し、床にある輝く卵に手を伸ばした。


(完)

posted by 二角レンチ at 11:14| 飛行艇の裏切り者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月07日

飛行艇の裏切り者(28)計画

飛行艇の裏切り者(28)計画

 怪物は死んでいない。融解した卵を次の能力者に浴びせその身体を乗っ取る。ウレミオの身体からモニカの身体に移った卵はその身体を新たな親とした。

 親を渡り歩いても能力は失われない。ウレミオのレーザーを持ちながらモニカの氷の剣も扱える。飛びかかっては剣で切りつけ離れてはレーザーで撃つ。遠距離も近距離も強力な攻撃を繰り出す怪物にマルガリタとパーシバルはなすすべもない。

「モニカが死んだなんて嘘だ。だって、そんなに元気で」

「モニカは死んだ。この身体は怪物だ。意志も声も俺のままにな」

「ウレミオ。何なんだよお前は。モニカを返せ。その身体から離れろ」

「卵と融合した俺は卵と共に意志を保つ。しかしモニカの魂は食い殺された。もう残っていない。この身体はモニカではないし、彼女はもう戻らない」

「嘘だそんなの。僕は、やっと、彼女を好きだって気付いたのに」

「そいつはすまないな。しかし俺にはどうする事も出来ん。お前たちは早く俺を殺すんだ。これ以上怪物を成長させるな」

 ウレミオの声をした怪物が両手の氷の剣を交差させる。早すぎる。どんどん成長しもはやその速度は対処しきれる限界を超えている。パーシバルは胸を切り裂かれ仰け反る。

「これまでか」

 ウレミオは残念そうな声を上げる。しかしその手でとどめのレーザーを放つ。

 パーシバルは身体をひねってかわす。しかし避けきれない。右腕を肩からレーザーで消し飛ばされる。

「うぎっ、ああああが」

「パーシバル様!」

 マルガリタが火炎で彼を守る。二本の火炎放射を避けるべく、ウレミオはモニカの身体で華麗な白鳥のように舞い後ろへ飛び退く。

「もうお前等に勝ち目は無いな。俺にはどうにも出来ない。身体は俺の意志では動かせない。しかしそれでも伝えねばならん」

「何をですか」

 強すぎる。勝ち目はもう無い。三対一でも勝てない相手に対し二人で、しかもパーシバルは片腕を失い激痛にうずくまっている。

 時間が経つほど怪物は成長する。しかし今あらがっても殺されるだけだ。彼が話をするならそれを聞くしか出来ない。その間になんとか活路を見い出さなければ。

「マルガリタ。パーシバル。よく聞け。お前たちはもうこの怪物に殺されるだろう。それでも万が一にも生き延びられた場合のために、俺の推理を伝えておく」

「はい」

「俺たちの目的地。この卵が能力者を親として渡り歩く性質。その能力を取り込む。それから考えられる目的は一つだ」

「それは?」

「目的地への途上には、史上最強の能力者マハールがいる。この卵は奴を親として植え付けるために輸送していたんだ」

「マハール? あの、火山と融合し噴火と地震を操る能力者ですか」

「そうだ。奴は活火山と融合し、殺せない。すでに百年を生き、敵がくれば噴火と地震、地割れで襲いどんな軍隊や兵器も寄せ付けない。俺たちの目的地の途中にいる奴の上空でこの飛行艇を撃墜し、奴に飛行艇ごと卵をぶつけ融合させるつもりなのだ」

「そんな」

 ウレミオと融合しただけでこれだ。生きる伝説、規格外の能力者であるマハールと融合したらもう人間の手に負える物ではない。

「俺たちを送り込んだ組織と国の連合は、史上最強の能力者をさらなる怪物にする。その怪物の体内で育ち生まれる卵は親である怪物をはるかに超越した存在なのだろう。何が生まれるのかはわからない。おそらく誰も知らない。だからそれを実験するのだ。人間の欲望は果てしなく、人類を滅ぼすであろう驚異を生み出す実験を行う事を推進させてしまった」

「どうしてそんな。自分たちも脅かされるというのに」

「国や組織のトップなどそんなものだ。あらゆる快楽も危険ももはや味わい尽くした。未知の驚異。未知の恐怖。それを知らずに死ねはしない。全てを手に入れ味わい尽くした老人共が最後に求めるのは、自分の最後を飾るにふさわしい史上最高無比壮大なる破滅なのだろう」

「そんな狂った、馬鹿げた理由で、自らと共に人類を滅ぼすなどあり得るのでしょうか」

「俺の推理にしか過ぎないと言っているだろう。もっと違う理由かも知らんが俺はそれぐらいしか思いつかない。俺を送り出した国のトップ連中と話していればそう思える。奴らは生きるのにも飽きたが普通に死ぬのは面白くないので生きながらえている屍だと感じていた」

 そんなくだらない理由でみんな死んだと言うのか。何もかも手に入れた人間の傲慢さが、自分の最後を飾るにふさわしい壮大なる破滅を求めた。そんな連中が権力を持ち、寄り集まったせいでこんなに狂った破滅の計画を推進させ実行したというのか。

「巨大組織と国家の連合は誰にも止められない。反対する者は全てその権力でねじ伏せ潰してきたのだろう。阻止する方法はただ一つ。協力する振りをして計画を失敗させる事だ」

「失敗? どうやってですか」

「あからさまな妨害や、確実に阻止するような計画は見破られ阻止されるだろう。だから実にあやふやで、相手が見逃してしまうような些細な可能性に賭けるしかなかったのだ」

「些細な、見逃すような妨害……そうですか。それがヨルムンド様なのですね」

「そうだ。あいつの天の啓示能力は多くの無意味な言動の中にたまに役立つ啓示が含まれる。占いと一緒だ。あれこれ言っていればどれかは当たる。別に何かを予知したわけではない。そういう物だと思われている。実際俺たちもヨルムンドに説明を聞いても奴の能力を信じなかった。だからこそねじ込めた。誰もが彼をただの馬鹿な道化だと思い、天の啓示能力は嘘でただのごっこ遊びだと見過ごした。彼を送り込んだ組織だけは彼の天の啓示能力が本物で、それがこの計画を頓挫させる事を願って彼をこの計画に参加させたのだ」

「とても成功率が低く、ほぼ失敗に終わる妨害措置。しかしその程度でなければ見破られ阻止された」

「そうだ。あれほど役に立たない、誰が見ても信じない能力。それに賭けるしかなかった。計画を阻止するなんて大それた事は出来ない。ただ最悪を、もう少しましな最悪に抑える事しか出来なかった」

「どういう事ですか」

「今起こっている事だ。彼の天の啓示能力は誰かが卵に触れる事を啓示した。卵は強い能力者が触れればそれを親として融合する。火山の力を持つ不死身のマハールという最強最悪の親でなく、俺たちの誰かが卵の親となる事で、最悪の事態をそれよりはまだましな最悪に抑えたのだ」

「そんな。それでも怪物は強すぎます。阻止出来ません。私たちを皆殺しにしたあときっとマハールを求めていずれたどり着き、融合して親とするでしょう」

「天の啓示は人々を救うためにある。最大の最悪にたどり着く前に何とかしろとの啓示なのだ。これは警告だ。この卵の存在を知り、その能力を暴いた。俺たちは使命に基づいてこの卵を目的地に運ぶべきではない。この卵を何とかして隠し誰にも渡さず守り抜かねばならない」

「出来ません。無理です。もう怪物に殺される。そうでなくともその卵を追っ手から守り続ける事など不可能です」

「今は無理でも逃げながら何とか手だてを考えろ。俺にはわからん。しかしとにかくまずは、俺を殺してこの怪物を止めろ」

「無理です。もう」

「こうして話している間にもどんどん成長している。この怪物は強くなっていく。体内で卵が育っていくのがわかる。恐ろしい。卵の力は親である怪物の比ではないぞ。これが生まれればきっと人類はもうおしまいだ。殺せず止められない最悪の災厄が生まれて世界を滅ぼすのだ」

 マルガリタは打ちのめされていた。哲学を貫いて、その結果死んでもそれはよいのだ。なのに哲学を貫けない。あまりにも壮大で自分の世界からかけ離れた野望にさらされ、心がくじけてしまっていた。

 もう殺されて楽になりたい。この恐怖に立ち向かうなんて恐ろしくて出来ない。もう戦えない。マルガリタは泣きながらひざをつく。

「マルガリタ。僕が隙を作るから。あいつを今度こそ焼き尽くすんだ。溶けた卵を浴びなければきっと、卵は凝集して元の卵に戻る。それに触れないように捕獲するんだ」

「パーシバル様?」

 パーシバルはレーザーで切断された肩の傷を押さえて、汗を垂らしながらにっこり笑う。

「僕は連合の計画とか卵が人類を滅ぼすとか、ははっ。そんな事はモニカを見倣って割り切る。考えない事にする。僕はただ、ようやく好きだと気付いたモニカのために最後まで戦い、彼女の元へ行きたいだけだ」

「パーシバル様。いけません。殺されてしまいます」

「どうせ殺されるよ。でも君は最後まで戦って。僕は先に行く。もうモニカは死んだけど、あのモニカの姿に殺されるなら本望だ」

 パーシバルもマルガリタ同様、あまりに恐ろしい話に心が砕けくじけてしまったのだ。自殺したいだけだ。でもただの自殺ではなく、マルガリタに後を任せる。辛い事も怖い事も全部押しつけ一人だけ先に逃げるつもりなのだ。

 何て自分勝手な。それでも隙を作ってくれる。あの強い怪物はもう、命を賭けても隙を作る事すら無理だろう。それでも何もせずただ殺されるよりは、最後まで立派に戦ったという自己満足を抱いて死にたい。

「……わかりました。どうせ二人とも死ぬでしょう。それでもやりましょう。それでも戦いましょう」

「うん……ごめんねマルガリタ。全部押しつけて。でも僕はもう恐怖にも責任にも耐えられない。モニカの後を追って楽になりたい」

「わかります。私も同じです。あなたのあとですぐ楽になりますから。どうかお気になさらずお先にどうぞ」

「ははっ。最後がレディファーストすら出来ないなんて格好悪いや。さよならマルガリタ。君のいれてくれた紅茶とてもおいしかったよ」

「ありがとうございます。さようならパーシバル様」

 二人は笑顔で見つめ合い、そして別れた。

posted by 二角レンチ at 13:56| 飛行艇の裏切り者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月06日

飛行艇の裏切り者(27)怪物

飛行艇の裏切り者(27)怪物

 部屋の中での乱戦。ウレミオのレーザーは動力部にまで届かないよう出力を押さえてある。しかし壁や天井を破壊し、狭い部屋はすぐに隣の部屋とつながり広くなる。

 壁や天井でも跳ねる俊敏性を持つパーシバルとモニカは、足場をこうも破壊されては跳躍による連続攻撃が行えない。遠くから突進しては攻撃し跳んで離れる。いつもの連撃が出来ずなかなか攻撃を当てられない。

「やりにくいなあもう。こうも壁を壊されたら跳べないじゃない」

 モニカは氷の剣をレーザーで溶かされるたび再生する。

 マルガリタは二人ほど素早くない。しかし巧みに死角へ移動しながら両手の火炎を噴出して攻撃する。

 ウレミオの反応は早い。素早く振り向きレーザーで火炎を迎撃する。レーザーは火炎を吹き飛ばしそのままマルガリタを襲うので、マルガリタは大きく回避して攻撃が限られてしまう。

 やはり強い。しかも輝く卵と融合しているせいか前より強くなっている。より素早くレーザーを撃ち込むウレミオに、三人がかりでも攻撃を当てられない。

「くそ。速度が速いぞ。僕やモニカより遅かったはずなのに。確実に僕らより早く反応している」

「ねえ、何かさあ、どんどん早くなってきてない?」

 モニカに言われて、考えたくなかった二人も認めざるを得ない。ウレミオは反応速度がどんどん早くなってきているのだ。

「この卵はな、融合した能力者を親とする。その体内で成長し羽化するまでの間、どんどん親を成長させて強化していくのだ」

 ウレミオは体内に卵を取り込んだ事でそれを理解する。そして説明する。身体はもう卵を守るべく動く。あらがえない。しかし思考と言葉は依然ウレミオ自身のままだ。

「卵は親を怪物に変えて自分を守らせる。ヨルムンドはおそらくそれを知らなかったが卵に触れる事が何か恐ろしい事だとわかっていた。だから俺が身代わりになって感謝の涙をこぼしたのだ。恐ろしい。自分が人間でなく怪物になっていくのがとても冷たく恐ろしい。怖くて死にそうなのにそれを喜ぶ暗い邪悪さまでも育っていくのが何より恐ろしい」

 ほとんど表情を見せないウレミオが暗い笑みを浮かべたのを見て三人ともぞっとした。

「くそ。親を成長させる卵だって? どっちが育てているんだか。親と子が両方同時に育つなんて。融合しているからか。より強い怪物になる前に殺さないと殺せなくなるって事か」

「そうだ。パーシバル。もしこの卵が十分成長して羽化するなら、そのときは用済みの親を卵の殻のように割って生まれるのだろう。何て恐ろしい死に方だ。ああ。俺はそんな死に方をしたくない。どうせ死ぬならお前たちに殺されたい」

「ならおとなしく殺されてくれよ」

「出来ないんだ。ヨルムンドの天の啓示と同じだ。身体が支配され動かされる。こうなるなんて知らなかったんだ」

「慎重な君らしくない。どうして卵が危険かもしれないのに触ったんだ」

「ヨルムンドの天の啓示は本物だった。それが触れと啓示したなら誰かが触らねばならなかったのだ」

「おかげで僕らは君に皆殺しにされちまう。何してくれてるんだよまったく。早く死ねよな。そらあああ!」

 引き延ばすと成長していく怪物であるウレミオに勝てなくなる。パーシバルはマルガリタが火炎放射で作ってくれた隙をめがけて飛び込む。

「無駄だ。もうお前たちでは俺を殺せない」

 ウレミオは肘の関節があり得ない方向へ曲がる。そして死角から襲ってきたパーシバルを見もせずに手から放つレーザーで撃つ。

「がっ」

「パーシバル!」

 かろうじてかわしたが、わき腹をレーザーでかすめられパーシバルは体勢を崩す。ウレミオが彼に振り向きさらなるレーザーでとどめを刺そうとする所へモニカが飛び込む。

「あああああああ!」

 気合い一閃。モニカの剣がウレミオの右手を切り飛ばす。

「やった」

 その切り口から赤い血が吹き出す。それはモニカの顔を濡らす。

「うわ、あ? きゃあああああ」

 モニカの顔が煙を噴き出す。

「モニカ!」

「体外に漏れた血が酸に変わる。俺の身体がどんどん化け物として成長し、新しい能力を獲得している」

 モニカは焼けた顔を手で押さえて転がる。パーシバルはけがをしたわきが痛むがモニカを抱えて素早く離脱する。

「モニカ、モニカ。しっかり」

「うあああ、パーシバル。いや、見ないで」

 顔半分が醜く焼けただれている。それを腕で隠すモニカは泣いていた。

 パーシバルは激怒した。

「ちくしょう! ウレミオ。この化け物が。天の啓示なんか放っておけばよかったんだ。君が卵に触らなければモニカがこんな目に遭わずに済んだんだぞ」

「それはすまなかったな。俺の手は握った者を癒す力がある。モニカを連れて来い。癒してやる」

「え?」

 ウレミオは左手でくいくいと手招きする。パーシバルはモニカを抱きかかえながらあっけに取られる。

 マルガリタが鋭く警告する。

「いけません。パーシバル様。ヨルムンド様の天の啓示と同じです。普段は本人の思考と言動ですが、それにさりげなく強制的な言動を混ぜて惑わしてくるのです」

「わ、わかっているよ」

「どうした? 早く癒さないと、モニカをいつまでもそんな醜い顔にしておくつもりか。愛するお前に見られたくないのだぞパーシバル」

「く、くそ。卑怯だぞ。そんな事言われたら」

「はあ、はあ、パーシバル。ウレミオが癒してくれるんでしょ。なら私をあいつの所へ連れていって」

「モニカ。違うんだよ。君は割り切って考えるからそう思ってしまうけど、彼は裏切り者で怪物だ。親切で優しいウレミオはもういないんだ」

「本当に、癒してくれるかもしれないでしょ。私やだよ。こんな顔でパーシバルと見つめ合えないもの」

「僕との事は今は忘れて。戦闘中なんだよ。割り切って同時に持ち込むんじゃない」

「パーシバル。どうして冷たいの? 私悲しいよ」

 モニカは泣き出す。パーシバルに焼けて醜い顔を見られたくなくて、それだけを割り切って思考してしまう。戦闘中なのを忘れてしまっている。

「女心が強いのです。モニカ様を責めないでくださいパーシバル様」

「わかっているよマルガリタ。モニカ、ここで待っていて。すぐにけりをつけてくるから」

「いや、行かないでパーシバル。私を一人にしないで」

 パーシバルは迷ったが、モニカを抱きしめキスをした。

「パーシバル?」

「君の顔が焼けていても醜くない。キスだって出来る。僕を信じて待っていてくれる?」

「……うん!」

 やむなくしただけだ。モニカを落ち着かせおとなしくさせるためにしただけ。しかしパーシバルはキスしたときたしかに胸が熱くなった。

(何だかんだで、気味悪かったり嫌だったりするときもある。でも僕はモニカの事、自分で思っている以上に好きになってしまっているんだな)

 危なっかしくて変。手に負えない。でも一緒にいて退屈しない。困った子だけど放っておけない。

 マルガリタを好きだったのは、自分にひどい事をした女の子たちと違い、従順で男を立ててくれると思ったからだ。自分に都合がいいから好意を抱いた。でも違った。本当の恋は、自分にとってどんなに都合が悪い相手でも好きになってしまうものなのだ。

 ウレミオは相変わらず手招きしている。

「どうしたんだ。今の俺は怪物ではない。俺の意志でモニカを癒してやれる。だから早くモニカを抱いて連れて来い」

「怪物って怖いね。そうやって人を騙す知性は維持したままなんて。騙されるものか。お前は殺す」

「パーシバル。お前はひどい奴だな。モニカを癒してやりたくないのか。醜いままでいろと言うのか」

「うるさい。もう黙れ。いや、黙らせてやる」

 パーシバルが突進する。ウレミオは即座に手招きをやめてレーザーを放つ。

 しかし当たらない。極限まで集中する事で反応速度の差を覆す。

 とうとう三人がかりでも近づけなかったウレミオに肉薄する。パーシバルは手刀を繰り出しウレミオの顔面を脳まで深く抉り取る。

 同時に攻撃していたマルガリタの火炎もウレミオに命中する。彼の身体を炎で包み黒こげにする。

 床に降り立つパーシバル。それより遅れて、顔面をごっそり抉られ真っ黒に焦げたウレミオがひざをつき、そのまま前のめりに倒れる。

「や、やった」

 パーシバルは安堵のため息をつく。

「殺した。恐ろしい化け物だった。でもまだ成長が足りなかった。成長して手に負えなくなる前に殺したぞ」

 ぶすぶすと焦げる身体はぼろぼろと崩れる。手も崩れ落ち、握れば癒せると言っていた治癒能力ももう使えない。それ以前に絶命しているのだ。能力を使えるわけがない。

「おそらく卵は殺せません。でも取り出して触れないよう箱か何かに入れないと」

「そうだねマルガリタ。卵は能力者に触れると融合し、そいつを親という怪物にしてしまう。触れないように取り出そう」

 黒こげの死体を崩して取り出すなんてぞっとする。しかしやるしかない。

「私の火炎でさらに焼きます。離れていてください」

「うん」

 パーシバルが下がる。マルガリタは離れた距離から両手を向け、火炎を放射しウレミオの死体をさらに焼く。

 焼け焦げた死体がぼろぼろと崩れる。どんどん焼いて消し炭となり、砕けていく。

 完全に焼き切った。しかし崩れさった身体からは何も出てこなかった。

「どういう事でしょうか……」

 マルガリタは不安にかられる。

「きっと卵を殺せないって推理が間違っていたんだ。君の炎で焼き尽くしたんだよ」

 二人は顔を見合わせる。恐怖で汗びっしょりだった。死体を割って羽化した怪物が飛び出してくるのではないかと警戒していた。でもそんなグロい事は無くて、これで終わったのだと安堵した。

「あは……ははは……」

「ははは……あはははは!」

 恐怖は去った。二人はようやくそれを実感し、笑い出した。

「終わっていないぞ」

 ウレミオの声がした。二人は心臓が止まるほど驚き、その声の方を振り返った。

 モニカが立っていた。しかしその口から出る声も言葉もウレミオの物だった。

「酸の血を浴びせたんじゃない。モニカの顔に浴びせたのは融解した卵だったのだ。皮膚を溶かして侵入した。今焼いた俺の身体は卵が脱皮した抜け殻だ。警戒しろ。この卵は能力者を渡り歩く。能力はそのままに次の親に埋め込む。親の成長は止まらない。能力を保持したまま次の親に移り、そいつの能力までも取り込んでしまうぞ」

 モニカは左手で自分の首を握る。ぎゅっと締め付けると治癒の力が発動し、モニカの醜く焼けただれた顔が元の美しい姿を取り戻す。

「どうやら初めの親の意志は卵と融合して切り離せないらしいな。俺の意志も思考もそのままだ。しかしモニカはもう死んだ。この身体は卵の親、怪物だ。殺してくれ。殺してしまえ。溶けた卵を浴びるなよ。親を移り渡られてしまうぞ」

 マルガリタとパーシバルは何が起こっているのかまるで理解出来ない。したくない。モニカが死んだなどと、悪夢が終わっておらずまだ続いていると、現状を認識したくなかった。

 しかしモニカが両手をかざし、レーザーを撃ち出した。それをかわしてようやく、二人は事態を飲み込み思考が動き出した。

posted by 二角レンチ at 22:31| 飛行艇の裏切り者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月05日

飛行艇の裏切り者(26)対峙

飛行艇の裏切り者(26)対峙

「ウレミオ!」

 パーシバルが叫ぶ。モニカとマルガリタが左右に散り、ごちゃごちゃと機械が入り組む動力部でウレミオを囲む。

 ウレミオは悠然と立ち、動力部の操作盤に手を置いている。

「手を上げろ。お前はもうおしまいだ。三対一だぞ。かないっこない」

 ウレミオは……素直に両手を上げた。それがどう異様なのか、彼が左手を切断した事を知らない三人は気付かなかった。

 ウレミオは怯えない。ただ三人をいつもの無表情で眺めた。

 いや、無表情ではない。憂いを帯びて何だか妙な色気がある。濡れていないのに雨に濡れそぼったようにしっとりした雰囲気だ。

「ウレミオ。手を上げたなら投降するんだな」

「投降はしない。ただこの動力部で暴れて機関を破壊したら困るだろう? この飛行艇が墜落しては俺も困る。だから場所を変えたい」

「航路を変更したのか」

「していない。確かめたらいいだろう」

 パーシバルはモニカを見る。モニカはうなずく。

「よし。いいだろう。ここで戦闘をする意志が無いなら、そこからゆっくり離れろ。モニカ。航路の確認を頼む」

「うん」

 ウレミオが離れた操作盤にモニカが駆けより操作する。

「パーシバル。航路は変更されていないよ。私たちが設定したランダム航行のままだよ」

「そうか。じゃあウレミオ。君は何をしにここへ来たんだ。僕たちが駆けつけるのが早くて航路を変更出来なかっただけなのかい」

「普通に推理すれば、俺が出来るだけ早く特異嵐を抜けて仲間を呼び積み荷を渡すと考えるだろう。そのため操作盤で航路を変更しに来るだろうとな。出来るだけ早く駆けつけなければならない。なら人数が絞られる。三人か。ビルバジオとは交戦しなかったのか?」

「ビルバジオ様は最後まで仲間を守って死にました。あの方は裏切り者ではありませんでした」

「そうか。そうだろうな。裏切り者などいなかったのだ。エーガットも裏切り者ではなかった」

「え?」

「彼はただ、パーシバルたちを動力部へ行かせて食堂から追い出した俺たち四人が何か企んでいないか探るために姿を消しただけだった。それで妻があわて混乱を生むだろう事は承知の上でな。彼は食堂での俺たちの会話を、気配を消す能力で盗み聞きした上で、積み荷を実際に暴く者がいればそれを阻止しようとしただけだった」

 モニカが顔をしかめる。

「ええー? エーガットは裏切り者だったんでしょ。それが何よ。裏切り者じゃないって。私割り切って考えて、これはこう! って一度思うとそれを修正するの大変なんだから。そんなにころころ変えちゃったら困るんだけど」

「そうか。でも事実だ」

「ウレミオは裏切り者って事でいいのよね?」

「そうだな。俺も裏切るつもりはなかった。しかし積み荷に触れて、それを手に入れた今これは誰にも渡さない。だからお前等からしたら裏切り者だ。信じなくてかまわんが俺は裏切り者ではなかった。誰も裏切ってなどいなかった。しかし積み荷に触れた今、俺はこれを誰にも渡さないで独り占めする裏切り者となったのだ」

「わけわかんないんだけど。ウレミオは裏切り者。だから処刑! でいいんだよね?」

 モニカが顔を向けるとパーシバルはうなずく。モニカは物事が明確になって、しかめ面がぱっと笑顔になった。

「ウレミオ様。積み荷はどこですか。何もお持ちになられていないようですが。どこに隠しているのですか」

「積み荷は輝く大きな卵だった。人の手で触れたらその人間と同化する。卵は俺と同化し融合した。切断された俺の左手を再生した。治癒の力を俺は持つのだ」

 全員ぎょっとする。治癒の力は強力だ。なにせ力が拮抗する能力者同士の戦いで、自分だけダメージを無くしてリセット出来る。手負いで勝てる相手ではないのに相手は無傷に戻り襲ってくるのだ。

「治癒させなければいい。エーガットの蛇が噛みつかないと癒せないように、ウレミオの治癒だって動作が必要なはずだ」

「ああ。俺は治癒を発動するのにこの手で掴む必要がある。触れるだけでは駄目だ。ぎゅっと握って初めて発動する」

「そんな嘘を信じると思うのか」

「事実だ。俺はビルバジオとは違うが嘘は言わん。お前等を今から殺すのだ。全力で戦わねばお前等も悔いが残るだろう」

「三対一で勝てるものか」

「早く試せばいい。戦闘出来る場所へ移動しろ。でないと今すぐ攻撃するぞ」

「動力部を破壊したら困るのはそっちも同じだろう」

「さすがにアッシラとリアリスまで来られては面倒だ。三人程度なら俺は勝てる」

「治癒を得たぐらいで偉そうに。いいだろう。移動しよう」

 動力部で待っていたのは急いで駆けつけられる人数を減らすための誘いだ。同時に機関を破壊すると脅している。アッシラとリアリスを通信で呼ぶ事は出来ない。

 ビルバジオと交戦しながら何人かが倉庫へ戻ってきた場合に備え、おびき寄せるために動力部で待っていた。ウレミオの掌の上で踊らされている。でも三対一でも勝てるなどとはとんだ思い上がりだ。すぐに思い知らせてやる。

 三人はウレミオを取り囲むように移動する。動力部から離れた空き部屋へ入る。

「狭いけど戦闘には十分だろ。どうせ瞬殺だからね」

「そうだな」

 全員構える。モニカは氷の剣を両手から生やし交差させる。マルガリタは両手から炎を噴き上げる。

「ウレミオ様。残念です。しかしあなたを殺します。積み荷が輝く卵であなたと融合したと言うなら、おそらくそれはあなたを殺せばまた卵に戻るのでしょう」

「俺もそう思う。破壊や喪失が困難な、人間の力では害せない存在。それが積み荷なのだ」

「それに触れ融合した。人間と融合した事で育つという事ですね」

「そうだろうな。ヨルムンドの天の啓示は誰かが積み荷を暴いてそれに手を触れる事を啓示した。彼は自分で触れようとしたがそれを俺が止めた。彼は俺が卵に触れるのでお前を殺すと言ったとき、感謝の涙をこぼしたよ」

「感謝?」

「この卵に触れた人間がどうなるか。彼は啓示で知っていたのかもしれない。いや、知らなくても何か恐ろしい事になると推理した。能力により嫌でも身体が動き卵に触れざるを得ない。その恐ろしい役目を免れ普通に死ねて、彼は俺に感謝したのだ」

 人に感謝するのを信条とするマルガリタは考え込む。しかしモニカが笑う。

「あはっ。殺されるから怖くて泣いたに決まっているじゃない。感謝だって。おっかしい。何自分が辛い役目を引き受けてあげたみたいに言っているのよ」

「この卵を受け入れ育てるというのがどういう事か、お前等は知らなくていい。これは俺だけが抱えて苦しめばいい事だ。お前等は何も知らずに死ね」

 ウレミオが両手からレーザーを放つ。モニカとマルガリタはそれをかわす。壁が焼かれ破壊され粉塵が舞う。決戦が開始された。

posted by 二角レンチ at 21:29| 飛行艇の裏切り者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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