2015年05月16日

ドルイド少女ワンカナ(58)パーティ

ドルイド少女ワンカナ(58)パーティ

 虹の壁の魔術は巨大な四角い壁を作り出す。その壁は虹のように様々な色に輝き、次々多彩な帯を並べて流すように変化していく。

 どんな属性の力すらも対応する色に変化し打ち消す。しかしメイジ魔術に防御は無い。攻撃を防御に転用しているだけだ。本来ならどんな色の属性にも対応し破壊する性質を生かして、敵の攻撃を破壊し防ぎながらそのまま壁を敵にぶつけ、どんな属性の敵でも苦手な属性の攻撃で破壊する攻撃魔術だ。

 しかしもたない。魔王の本性、百首のヒドラが持つドラゴンの首は十色全て揃っている。それらがどんどん強力なブレスを撃ち込むため、虹の壁は敵に到達する前に力の限界を迎え砕け散ってしまった。

 だが虹の壁でブレスを防ぎながら急降下していた樹木の巨人と巨大なエイはヒドラの背にまでたどりつけた。多数の山より巨大なドラゴンの首が並ぶ、島のようなヒドラの背に樹木の巨人は太い足で降り立った。

「うわっ。すごい弾力だ。ヒドラの胴はかなり分厚い皮膚をしているようだね」

「ああ。これだけ巨大だからやわらかい皮膚すら分厚い装甲となる。これを掘り進みさらに内部にある巨大すぎる脳を全壊させるのは容易ではない。これだけ成熟を極めていれば脳を半壊でも死なんが、脳すら巨大過ぎて全壊するのは難しい。やはりヒドラの持つもう一つの弱点、首を全てはねる方がまだ可能性がある」

「うん。アキハイト。走るのは任せたよ。僕は樹木の巨人の腕を操って攻撃する」

「頼むぞ。俺は移動と回避に集中する。攻撃は任せた」

「任せて。行っくよー!」

 ワンカナは元気いっぱいに叫ぶ。何となく楽しそうだ。

 魔王の威圧で戦う前に恐怖に屈した。でもアキハイトが勇気をくれた。彼とならたとえ死ぬであろう戦いでも、最後まで生きる希望を失わずに戦い続けられる。

 恋っていいな。愛って最高。ベイドとラズリもきっと、互いを愛していたから悲劇の最後を迎えてなお幸せだったに違いない。

 緑のドラゴンの首が樹木の巨人に噛みつこうとする。ベイドはグリーンドラゴンだった。だからこれがベイドかもしれない。

「ワンカナ。躊躇するな」

「わかっている。これはベイドじゃない。もうベイドはいないんだから。どのグリーンドラゴンの首も、ベイドじゃなくて魔王の首なんだから」

 アキハイトが神の騎馬の魔術で操る樹木の巨人はヒドラの背を素早く走り急激に横に跳び、グリーンドラゴンの首が噛みつくのをかわした。

 ドラゴンの首の横に回った樹木の巨人は、両腕を広げてその首にしがみつく。

「やっちゃえ樹木の巨人!」

 ワンカナが操る樹木の巨人の両腕が、凄まじい力でドラゴンの首を絞める。グリーンドラゴンの首はじたばたともがくがやがてぐたっとなり緑の泡を吹く。

「やった。まずは一本」

「油断するなワンカナ。首はまだまだあるのだぞ」

 樹木の巨人が屈む。後ろからブラウンドラゴンの首が迫り、茶色い濁流のブレスを吐きかけてきたのを避ける。

 ブラウンドラゴンの首が放ったブレスは、今絞められ気絶したグリーンドラゴンの首に浴びせられる。その首がボロボロと乾いてひび割れ、土のように砕けて崩れ去っていく。

「うわっ。土にして砕いちゃったよ」

「ブラウンドラゴンのブレスは対象を乾いた土のように干からびさせ砕き砂にしてしまう。魔王は全てのドラゴンの属性を兼ねるが、こうして百首のヒドラになれば、それぞれの首は己の属性に対する耐性しか持たないようだな」

「つまり違う属性の攻撃をぶつければ倒せるって事だね」

「そういう事だ。そして樹木の巨人は単純なパワーを武器とする。属性に関係なくどのドラゴンの首でも殴ったり絞めたりして倒せる。しかし逆に、どのドラゴンのブレスに対しても耐性を持たない」

「うん。アキハイト。しっかりかわしてね」

「任せろ。お前は攻撃に専念してくれていい」

「うん」

 頼もしい。こんなに頼もしい人と一緒に一体の巨人を操っている。この一体感、連帯間、そして充実感。ワンカナは今までで一番戦いが楽しいと思えた。もう恐怖に怯えて楽しまないなんてもったいない。

「ドラゴンの首は互いのブレスを上手く当てさせれば倒せる。なんだか希望が見えてきたね」

「ああ。だがだからこそむやみにブレスは放ってこないだろう。離れていた時と違い、こうして首が並ぶ懐に入ったからには魔王もブレスを放ちにくい。それでも同士討ち覚悟で放つ場合もある。気をつけて見極めねばならん」

「うん」

 樹木の巨人は多数の首が並ぶヒドラの背を高速で駆け抜ける。いくつもの首が同時に噛みつこうと襲ってくるが、樹木の巨人は素早く走り跳び退き、両腕でドラゴンの顔を殴って押し返したりしてなんとかかわし続ける。

「ううっ。この全方向からの同時噛みつき。かわすのが精一杯だよ」

「さっき一本の首を倒せたのはまぐれに近いな。だがこちらが消耗して倒れる前に全ての首を倒さねばならん」

「この調子だと難しいよ。こっちが先にへばっちゃう。あっ」

 ワンカナは遠くを見る。

 はるか遠く、島のように巨大なヒドラの胴の端から、魔物の群があふれ出すのが見えた。

 巨大な樹木の巨人には及ばないがそれでも山のような巨大さを誇る、成熟を極めた神レベルの魔物たち。その群がヒドラの腹の下からまるで子供を産むかのようにどんどん召喚され、多数あるヒドラの脚の間からわき出て平原を走ったり飛んだりしながら広がっていく。

「ああっ。あんなにたくさん。どんどん出てくる。一体でも並の魔術師のパーティじゃかなわないのに。あんな何千、いや何万もいるなんて」

「見るなワンカナ。俺たちは魔王を倒す。その使命に集中しろ」

「でも、あいつら、僕の樹木の巨人よりは小さい。今の僕らの力で操るこの巨人なら、神レベルの魔物の群だってきっと倒せるよ」

「倒せるさ。しかし数が多すぎる。それに魔王を倒すには全力でも足りん。他の魔物を倒して消耗している余裕は無い」

「でも、だって、あんな神レベルの魔物の大群が暴れたら、人間はみんな殺されちゃうよ」

「その前に魔王を殺す。そうすれば魔王の命令に突き動かされる軍団であるあいつらはもう群では動かん。ちりぢりになり残った人間だけは助けられる」

「その前にみんな、たくさん、殺されちゃう。僕らなら、今ならたくさん助けられる」

「ワンカナ」

 アキハイトは悲痛な顔で、涙を浮かべ狼狽するワンカナを後ろから抱きしめる。

「戦う前に言っただろう。魔王を倒さねば人類は全滅させられる。選択肢は無いと。多数の人間を見殺しに、囮にして俺たちはその間に魔王を倒す。そういう作戦だ。それ以外に無いし、魔王もそうし向けている。俺たちが魔物の群を何体倒しても焼け石に水だ。魔王を一刻も早く倒す以外に人々を救う方法は無い」

「その間に死んじゃう人たちはどうなるのさあ」

「堪えろ。いや、堪えてくれ。頼む」

 ワンカナはやはり、理屈ではわかっていても心では受け入れられない。守れなかった両親の代わりに他の人々を助ける。そのために使うと決めた力、樹木の巨人。なのにこの一番大事な時に、人々を見捨て見殺しにするなどあんまりだ。

 だが、ワンカナを抱きしめるアキハイトの腕が震えていた。人々を魔物の脅威から救う神の使命を帯びたパラディン。立派なパラディンであるアキハイトも、ワンカナ以上に人々を見殺しにするこの作戦の非道さを受け入れられない。

 それでもやるしかない。やるしかないのだ。だからアキハイトは我慢して魔物の群を見逃し、魔王と戦う事に集中している。

 ワンカナは腕で涙をぐしぐし拭う。

「えへへ。アキハイトには励まされてばかりだね。また心が迷っちゃった。うん。もう大丈夫。僕頑張る。一緒に頑張って魔王を倒すって決めたもんね」

「ワンカナ……すまない」

「アキハイトは悪くないよ。だからすまないじゃなくてありがとうって言ってよ」

「ああ。ありがとうワンカナ」

 こんな非道を強いる俺を許してくれて。

 アキハイトはそれを口に出せなかった。でもワンカナはわかってくれている。そして許している。

 アキハイトだって辛い。辛いからといってやらないで逃げてはいけない。これは使命で、他の誰かに任せてはいけない。

 パラディンのパーティは世界最強の魔術師たちだ。恐ろしい力を持つ魔王と戦い勝つ可能性があるのは彼らだけなのに、それが戦場を離脱して無駄な魔物退治に向かってはいけない。

 樹木の巨人はドラゴンの首の間を駆ける。次々襲い来るドラゴンの首の攻撃は鋭い。樹木の巨人が殴ってもダメージを与えるだけで倒せない。多数の攻撃を避けながら戦うのは困難で、ただいたずらに疲弊していった。

「アキハイト。やばいよ。このままだと消耗して追いつめられる」

「くそ。俺たちはこの魔術に全力を注がねば戦えない。そのせいで他の魔術を併用出来ない。他の魔術を使っても一時凌ぎにしかならず、消耗して樹木の巨人を使えなくなれば余計に状況が悪化する」

「こんな時、ラズリやベイドがいれば」

「言うな」

「でも」

「言うな!」

 アキハイトが怒鳴る。彼とてせっぱ詰まって余裕が無い。必死に打開策を考えている。

「ううーっ。首同士の同士討ちを恐れてブレスを放ってこない。どこに逃げてもどこにでもドラゴンの首がたくさん生えている。死角が無い。どうしたら」

 そのとき、ヒドラの胴に降りてから別れたパラディンのパーティが、巨大エイに乗って首の向こうに見えた。白金の甲冑をまとうパラディンが叫んでいる。

「おーいアキハイトの坊や。まだ生きているかあ?」

「バンドール様。ええ、なんとか」

「その様子だと手詰まりのようだなあ? がっははは」

「いえ、何とかします」

「何を言っておる。わしらは違うパーティだが一緒に戦っているのだぞ。見たところ攻撃の手が足りんようだな。多数の首の噛みつきを避けるだけでろくに攻撃出来ん。どれ。わしのパーティから一人貸そう。レイズ。行ってやれ」

「しかしバンドール様。それではあなたのパーティの戦力が欠けてしまいます。パーティは長年の連携で最大の力を発揮します。一人でも欠ければ培った連携が崩れ、そこを突かれてしまいます」

「何を言う。誰が欠けようが別行動しようが、それに対応出来るだけの熟練を備えておるわ。一度パーティが全滅し、さらに決戦直前で半数を失ったお前の所と一緒にするな。こっちは六人もおるのだ。一人減ってもどうって事ないわ」

 嘘だ。パーティは最大の力を発揮するために適切な人数のメンバーを揃える。余剰の人員を入れない。連携しにくく邪魔になる。だから普通、一つのパーティに同じクラスの魔術師はいない。バンドールのパーティだって全てが違うクラスの魔術師で構成されている。誰一人欠けてはいけない不可欠の存在だ。

「バンドール様。こちらはこちらで何とかします。パーティの人数が減ったのはこちらの責任。そちらには関係ありません」

「関係あるわいこの馬鹿者が! わしらの父親は共にパラディンであり、十年前一緒に戦い散った。お前とは十年前までの間に父に連れられ何度か会った事があるだけだが、それでも生意気で無愛想な弟のように思っておる。このまま死なせるのは偲びない。遠慮するな。これは合同作戦だ。どのパーティもそれぞれがドラゴンの首を落としていかねば全員消耗し尽くして敗北する。お前の所も頑張ってもらわんとこっちが困るんじゃい」

 襲い来るドラゴンの首の間を縫って、空を泳ぐように飛ぶ巨大エイが接近する。一瞬しか近付く隙が無かったがそのすれ違う一瞬で、エイの背から黒いローブを着て長い黒髪をなびかせた美しい熟女、レイズが樹木の巨人に飛び乗って来た。

「はあい。さっきぶり。まだ生きていたのね。うれしいわ」

「レイズさんたちもみんなまだ無事なんですね。よかったあ」

「レイズでいいわよワンカナちゃん。私もワンカナって呼ばせてもらうわ。アキハイト。あなたはパラディン。あなたがリーダーよ。私は今からあなたの指揮下に入るわ。遠慮無く命令してちょうだい」

「わかりました。いや、わかった。レイズ。これからは俺が命令を出させてもらう」

 アキハイトとワンカナはレイズと挨拶をすませると、すでに遠くに飛び去りながら手を振るバンドールに向かって頭を下げる。

「さーて。うふ。若い子ばかりでおばさん張り切っちゃうわあ。あ、でも私の事はお姉さんって呼んでね。今はもう夫も子供もいない独り身だから」

「そうなんですか」

「ええ。十年前に夫は魔王に殺されたわ。あのバンドール様の父親であるパラディンのパーティにいて戦死したのよ。私は娘を守ってひっそり生きるか、何もかも捨てて夫の復讐に生きるかを選択した。だからこうして今戦っているのよ」

「え、それって、つまり」

「……愛する夫は年が離れていたけどとても優しい人だった。愛していた。魔術師として鍛えて復讐せずにはいられなかった。娘は足手まといにしかならない。だから捨てたのよ」

「そんな」

「ひどい母親でしょ。でも何を言われてもいい。魔王は絶対殺すわ。アキハイト。父親を魔王に殺されたあなたならわかるでしょう。ワンカナ。あなただって仲間のメイジを殺されたし、魔王が首がパーティに潜伏していて裏切られたんでしょ。復讐は堪えるなんて出来ない。わかるわよね?」

「う、うん。わかるよ。でも」

 ワンカナは口をつぐんだ。

 娘を捨てるなんてひどい母親だ。でもたしかに、復讐のため魔術師として死にものぐるいで鍛える修行の旅を十年も続けるのに、娘を連れて行けるわけがない。

 レイズは寂しい顔をする。でもすぐにきつい顔つきになる。

「さーて。湿っぽい話はおしまい。続きは生き残ってからね。ワンカナ。私が娘を捨てた事に何か言いたそうね。どんな批判でも受けるわ。私は目的のために家族を捨てたもの。批判されて当然。でも今はそんな場合じゃない。そうでしょ?」

「う、うん。そうだね」

 レイズは強く美しい女性だ。前を向き黒い髪をなびかせるその横顔のりりしさは、亡きラズリを思い起こさせる。

 レイズはメイジだ。黒いローブに長い黒髪の美しい女性。ラズリに似ている。始めに見間違えたのも無理はない。服も髪もそっくりで、同じメイジなのだから。

 なんだか顔や声まで似ている気がする。気のせいだろうが、ワンカナはラズリが帰ってきてくれて、一緒に戦ってくれるような気がしてなんだかうれしくなった。

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2015年05月13日

ドルイド少女ワンカナ(57)虹の壁

ドルイド少女ワンカナ(57)虹の壁

 魔王はヒドラの本性を現した。急速に膨れ上がる肉の塊はわずか一瞬で膨れ切り、隕石落下の魔術で抉られた大地に降り立った。

 地面が揺れ、激しい地震が起こる。ヒドラはカバのようにぬるりとした胴を持つ。皮膚の色は人間の姿の髪や瞳と同じ灰色。

 ヒドラとしてあまりに異形。大きすぎる身体を支えるため、本来四本しかないはずの脚が腹の下に何十本も所狭しと生えている。

 そしてその背には、これまた所狭しとドラゴンの首が生えている。十色のドラゴンの首がそれぞれ十本。ただしその内三本は先の攻撃により落とされ傷口から血を流している。

 なにより圧倒的なのはその大きさだ。魔物は強く成熟するほど肥大しそれは際限が無い。しかしこれは尋常ではない。山より大きく成熟した魔物を見てきたワンカナでさえ、山ほどの大きさの首をいくつも並べまるで島かと思うほどとんでもない大きさの魔物を見るのは初めてだった。

「す、凄い。なんて大きさ。山より大きな魔物より何十倍も大きい。背に生えたドラゴンの首一本一本が、神レベルの魔物みたいに巨大だよ」

「十年前の戦いで見られた魔王よりもはるかに成熟し肥大している。ここまで強大になっていたとは。これでは隕石落下の魔術の相乗でも首をわずか三本盾にして防げたのもうなずける」

「どうするのアキハイト」

「さっき言った通りだ。樹木の巨人を召喚しろ」

「本当に出来るの? 僕の魔術に君の魔術を加算するなんて」

「さっきは信じると言っただろう」

「んー、でも、やっぱり無理かも」

「今更何を言っている」

「もう一度キスしてくれたら信じられるかも」

 ワンカナは目を瞑って唇を突き出す。アキハイトは腕を組んでふんぞり返る。

「俺はキスなどしていない」

「えー、したよ。パラディンは嘘ついちゃいけないんじゃなかったっけ?」

「うるさい。さっきのはお前を勇気付けただけだ。それ以上の何でもない」

「えへへー。アキハイトって照れ屋さんだよね。キスぐらいでそんなに照れちゃってー」

「うるさい」

「僕初めてだったんだからね」

「ん?」

「ちゃんと責任取ってよね」

「う……」

「あはははは。その話はまた後でね。生き残ってからたっぷりするから、覚悟してね」

「……ああ。生き残ろう。二人で」

「うん。じゃあ行っくよー。樹木の巨人!」

 ワンカナは全力で魔術を行使する。もう他の魔術はいらない。これだけに全力を注いで構わない。

 この辺りはまだ隕石落下の魔術で焼かれていない。草原の草が蔓となり木となり大木となりねじれより集まり、この辺一体の草が樹木となって巨人の姿を形成していく。

「おおっ」

 アキハイトが驚く。ワンカナにはいつも驚かされっぱなしだ。一緒にいて飽きる事が無い。いつも新鮮な驚きと感動をもたらしてくれる。

 今までに見た事も無いほど巨大な樹木の巨人が出現する。その頭にワンカナは座り手をついて操る。その後ろにアキハイトは膝をついている。

「す、凄い。これなら魔王と戦える。あの巨大過ぎる魔王ほどではないが、そのドラゴンの首に負けないほど大きい。奴の首を一本ずつ締め上げ倒す事も出来よう」

「へへっ。愛は偉大だね。そして雄大。僕の幸せな気持ちを自然も祝福してくれている。だからこんなに強い力を貸してくれたんだ」

「よし。行くぞワンカナ。走るのは俺に任せろ。神の騎馬で操る。お前は拳を振るって戦う事に専念しろ」

「うん。任せたよアキハイト」

「ああ。パラディン魔術、神の騎馬!」

 ワンカナの後ろに立ち、アキハイトが叫ぶ。その身体が神々しく輝き、その光が足から巨人に流れ込む。

 他人の魔術に魔術を加算するなど出来るのか。聞いた事も無い。それが出来ればまさに奇跡だ。しかしワンカナもアキハイトもそれが出来ると信じて疑っていない。

 だって気持ちが一つだから。身体は二つでも一つの気持ちで魔術を重ねる。きっと上手くいく。失敗するわけがない。

 緑の木が絡まった樹木の巨人が金色に輝き出す。神の騎馬の魔術がかかり、その力で満たされた証だ。

「やったあ、成功だよアキハイト!」

「ああ。お前とならきっと上手く力を合わせられると思っていた。行くぞワンカナ。魔王を倒す!」

「うん。行っけえっ、樹木の巨人!」

 ワンカナが叫ぶ。アキハイトが神の騎馬の魔術で樹木の巨人を駆る。

 神の騎馬の魔術は、神が乗る騎馬のように乗り物を操る。ただの乗り物よりも高速で自在に動かせる。今の熟練したアキハイトの魔術はとても強い力を持つ。普通ならここまで巨大な乗り物は力が足りずに駆れないが、樹木の巨人はアキハイトの魔術により駆け出す。

「うわわわっ。すっごいっ!」

 ワンカナがびっくりする。樹木の巨人はその巨体に似合わすとても素早く動くが、今までとは違う。まるで光か風かというように疾走する。平原を吹き飛ばし大気を突き破って嵐を巻き起こしながら手足をがんがん振るって疾走する。

「凄い凄い早い早い!」

 ワンカナは喜ぶ。何十キロも離れていた魔王にもうじきたどり着く。

 魔王の首の一本、赤い首がこっちを向く。燃え盛る溶岩のブレスを樹木の巨人に向けて放つ。

 アキハイトが操る樹木の巨人は、その巨体からは想像出来ない俊敏さで横にかわす。膨大に広がり放射されるブレスすら樹木の巨人のサイズより小さく全身を包み込めはしない。それでも食らえばダメージを負う。避けねばならない。

 ヒドラの背に生えたドラゴンの首が何本もこちらを向く。色とりどりのドラゴンがそれぞれ樹木の巨人に向けてブレスを放つ。

 広範囲に分散して放たれたブレスは、どれを避けても別のどれかに当たる。かわせない。

「アキハイト!」

「ああ」

 アキハイトは力を注ぎ樹木の巨人を操る。樹木の巨人はその巨体からは想像も出来ないほど高く、上空へ跳び上がった。

 何発ものブレスの雨を全て避けて、上空で華麗に一回転した樹木の巨人はヒドラの真上に到達する。

 ヒドラの首がまた何本も上を向き樹木の巨人を狙う。口を開き色も効果も異なるブレスを何発も放射する。

「ワンカナ。頼む」

「うん。片腕一本犠牲にすればなんとか弾き切れると思う」

 上空ではもう神の騎馬の機動力でかわせない。ヒドラの身体に降り立つ前にある程度の被弾は覚悟せねばならない。しかしダメージをなるべく減らさないと戦えない。ワンカナは樹木の巨人の腕一本を犠牲にして全てのブレスを防ごうと、樹木の巨人に身構えさせる。

「その必要はないわ」

「え?」

「メイジ魔術、虹の壁」

 樹木の巨人の前に、巨大な四角い壁が出現する。まるで虹のように何本もの異なる色の光の帯が煌めき次々流れていくその不思議な壁はとても美しかった。

 樹木の巨人に向けて放たれたブレスが虹の壁に当たる。虹は次々色を変え、ブレスを飲み込んでいく。

「メイジ魔術、虹の壁。敵の攻撃の属性に合わせ虹のように変質する。次々変質し、どんな属性の多重攻撃をも防ぎ切る」

 虹の壁は何発も放たれた属性の違うブレスを、次々それに併せて色を煌めき変えながら防ぎ切った。

 ワンカナは、その魔術で助けてくれた誰かを見上げる。

 女の声。メイジ魔術。まさか。

「ラズリ!」

 上空に、ラズリがいて、微笑んでくれていた。

「違う。ワンカナ。あれは他のパラディンのパーティの魔術師だ」

「え? あっ」

 見間違いだった。黒いローブに黒く長い髪の女。でもメイジは黒いローブを好んで着るし、髪もそれに合わせて黒く染める者もいるという。似ていて当然だった。でもラズリではないし、ラズリよりも年上の熟女だった。

「あ、ああっ。なんだ。ラズリじゃないや」

 ワンカナは落胆する。ラズリはもう死んだのだ。生きていて助けに来てくれるわけがない。

 上空にいる黒い髪の熟女は巨大な空飛ぶ青いエイに乗っていた。そのエイの背には他にも数人の魔術師が乗っているようだ。

 ヒドラに向けて落下する樹木の巨人。それと並んでそのエイも下降し、ワンカナは助けてくれたメイジにお礼を言う。

「ありがとう。おかげで助かったよー!」

「どういたしまして。かわいいお嬢さん。あなたがワンカナね。私はレイズ。その巨人、話には聞いていたけど凄いわねえ。うちのビーストライダーもそれぐらい強ければねえ」

 レイズと名乗った女性は横にいる、巨大エイに膝と手をついて操っているビーストライダーの魔術師に笑いかける。

 少年だった。熟練の魔術師を集めた他のパラディンのパーティにこんな若い子がいる事にワンカナは驚く。

「ふんだ。俺は強いんだよ。でもあんたたちみたいに長い事修行してないからまだまだ成長途中なんだよおばさん」

「相変わらず口の減らないガキねえ。お姉さんでしょお姉さん」

「ふんだ。四十のおばさんがお姉さんだって? 笑っちゃうね」

「まだそこまで行ってないわよ。失礼ねえ」

 エイに乗っている甲冑を着た男はパラディンだ。形は少し違うし色も白金だが、魔術武装がアキハイトと同じだからわかる。髪と同じくふさふさの茶色いひげの生えた中年だった。

「おお。アキハイトの坊や。立派になったなあ」

「坊やはよしてください。もう十代ではありませんよバンドール様」

「がっははは。まだまだ若造だよお前は。話は聞いている。決戦直前に大変だったな。だがその樹木の巨人の輝き。まさか神の騎馬で操っておるのか?」

「ええ」

「ふうむ。聞いた事が無いな。他人の魔術に魔術を重ねるなど。よほど強い絆で結ばれておると見える。ぐっふふふ」

 バンドールと呼ばれたパラディンは下世話な笑いを浮かべる。

 アキハイトは何か言い返そうとしたが、その前にメイジのレイズがぱんぱんと手を叩く。

「ほらほらもうおしまい。おしゃべりは戦いが終わって生き残ってからたっぷりしましょうね。そろそろ虹の壁の魔術が消えるわ。強力なブレスを何発も浴びせられ続ければさすがにもたない。でも何とかヒドラに到達するまではブレスを防ぎ切れたようね。キザン。虹の壁が解けるわ。ドラゴンの首に噛みつかれないよう気を付けて飛んでね」

「ふんだ。誰に物言っているんだい。俺は若いけど力を認められてこのパーティに加えてもらえたんだよ。見くびらないでよね」

 キザンと呼ばれた少年、ビーストライダーの魔術師は釣り上った大きく生意気そうな目でちらりとワンカナを見る。

「ふんだ」

 ぷいっとそっぽを向く。ワンカナはむっとする。

「何あれ。なんで僕の事いきなり嫌っているんだろう」

 アキハイトが答える。

「同じくらい若いのに、お前はこんなに巨大な樹木の巨人を召喚したからだろう。ビーストライダーの魔術師は魔物のような獣を召喚してそれを駆り戦う魔術師だ。お前ほど巨大な獣を召喚出来ず、力で負けていると思ってすねているのだろう」

「え? 樹木の巨人以外に魔物みたいな生物ぽいのを召喚する魔術師っているの?」

「ああ。お前の村はドルイドの知識だけで他の魔術師について疎かっただろう。だから知らないだけだ。知っていればきっと」

 アキハイトは口をつぐむ。

「いいよ。今は戦いに集中しよう」

「ああ」

 魔物のような存在を召喚する魔術。それがあると知っていれば、ワンカナは樹木の巨人を召喚しても村人たちに悪魔の子だと恐れられ両親を殺される事も無かったかもしれない。

 言ってもどうしようもない。しかし無知は怖い。外の危険を避けるために狭い世界に閉じこもっている事がどれほど愚かで危険な事なのか、ワンカナはつくづく身にしみた。

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2015年05月11日

ドルイド少女ワンカナ(56)同じ気持ち

ドルイド少女ワンカナ(56)同じ気持ち

 決戦の地である平原。その上空に人間の姿で出現した魔王は決戦の口上を述べる間に即座に強襲された。

 パラディンのパーティ四組にそれぞれいる、世界最強レベルのメイジによる隕石落下の魔術の相乗。その威力はラズリが欠けた四人とはいえ十年前の五人がかりの威力をも上回る。それだけどのパーティの魔術師もこの十年間鍛えに鍛え熟練を極めたという証だった。

 凄まじい衝撃波が広がり、まぶしい光と共に全てを粉砕し塵すら分解する。圧倒的絶大な破壊力。魔王がいかに強くとも、この威力を前に無傷では済まないはずだ。

 アキハイトたちは爆心地から十分な距離、数十キロも離れていた。しかし爆風が凄まじく、嵐の魔術でもぶつけられたようだ。足を踏ん張り踏みとどまらねばならなかった。

「うわあっ。爆風がここまでこんなに。凄い威力だあっ」

 ワンカナは腕で顔を覆いながら叫ぶ。アキハイトはワンカナの前に立ち、魔術武装の兜まで装着して爆風に耐える。

 全てが分解され、平原もまるで大きなスプーンですくい取ったかのようにがっぽり抉れている。白い煙を噴いて大気も大地も焼けている。

「ううっ。凄い。こんなのいくら魔王でも耐え切れないよ」

「ああ。話に聞いていた、十年前の物よりはるかに凄まじい威力だろう。ラズリを欠いていなければさらに威力が増していただろうが、これでも十分過ぎるほどだ」

 最大最強の先制攻撃。これほどの威力の破壊魔術などもう作り出せない。これでどれだけ魔王に手傷を負わせられるかが勝負の分かれ目となる。

 十年前のように首の大半を潰せていればいいが。アキハイトたちを始め、五方にいるパラディンとその一行はじっと行く末を見守った。

 焼けた大量の煙が風に流され、魔王がどうなったのかが露わになる。

 魔王の気配が無いから死んだのかもと期待すらした。しかし現実は非情だった。

 魔王は無傷だった。死んだのではない。人間の姿のままだったから魔物の威圧を放たず存在が感じられなかっただけだった。

 魔王は笑顔で上空に浮かび、両手を振る。するとその手から抜け出るようにずるっと、巨大な首が数本血塗れで出てくる。

「首が三本。たったこれだけですか? 十年前の者たちよりはるか強力に熟練したメイジによる隕石落下の相乗。ラズリを決戦前に死なせてしまったのが残念です。彼女が生きて加われば、きっと五本ぐらいは首を殺せたでしょうに」

 三本も五本も大差無い。この最大の攻撃で少なくとも百の首の半分以上を潰すのが作戦の要だったのだ。

 もう勝てない。誰もが絶望した。魔王は強くなりすぎている。十年前より強く成熟しているであろう事は想定していたが、それはせいぜい二倍程度。しかしこれは何だ。明らかに十年前の数十倍も強くなっている。

「おや? 誰もかかってきませんね。私が強すぎて驚いていますか? 何が不思議なのでしょう」

 魔王はわざとらしく首を傾げる。

「私は誰よりも愛するヒエン姫を、人間たちの夜討ちで殺されたのですよ。私が元凶だろうが殺したのはあなたたち人間です。いくら擬態だろうが私の心は人間のそれと同等だと自負しています。人間は愛する人を殺されれば、その復讐のために死にものぐるいで強くなり、強大な仇を討つものでしょう。私も同じです。愛するあの人を殺された恨み。その復讐のために私は力を蓄え強くなりました。あなたたちだって十年前の戦いで大事な人が大勢殺されたでしょう。私の復讐とあなたたちの復讐。どちらの恨みが強いか。どちらがより復讐のために力を鍛えたか。その差がこれです。あなたたちの復讐は私より弱く浅い。だからこの程度しか力を磨けなかったのです」

 魔王の強さに畏怖し震えていたアキハイトが、はるか遠くにいる魔王に向かって叫ぶ。

「ふざけるな! 俺は父を貴様に殺された。ラズリだって貴様のせいで殺された。俺の、俺たちの復讐が貴様のそれより弱いはずがない」

「あなたたちは復讐の原動力、愛する者を殺された恨みが足りないのです。それはつまり愛が足りないという事です。私の愛は人間よりも深い。だからその恨みも復讐も人間よりも強い。そういう事です」

「違う! 魔物の愛も復讐も人間の真似だ。擬態だ。俺たちのそれより強いわけがない」

「偽物だろうが強く磨けば本物を凌駕するのですよ。いいから恐れていないでかかってきなさい。十年も備えさせてこの程度とは拍子抜けですが、それでもこれが最後ですからね。宣言通り全力で戦ってあげます」

 魔王の姿が崩れる。醜く膨れ上がりどんどん肥大する。

 それと同時に魔物の威圧が発せられる。強大に成熟した魔物ほどその威圧が強い。しかしこれは。数十キロも離れていてなおアキハイトやワンカナはその凄まじい圧力に後ずさる。

「ううっ、こんなに」

「アキハイト。何これ。この距離でこの威圧。強すぎる。神レベルの魔物や、あの魔王が首で最強だったゴロラドすら話にならない強さだよこれ」

「わかっている。しかし戦わねばならん。やるぞワンカナ」

「無理だよ。こんなの、戦えない。怖い。僕もう駄目」

「ワンカナ!」

 アキハイトは魔術武装を解く。恐怖の余り錯乱し、怯えて子供みたいに泣きじゃくるしか出来ないワンカナを強く抱きしめる。

「アキハイト?」

「怯えるな。俺がついている。俺と一緒でも怖いか?」

 ワンカナはアキハイトの腰に手を回し、彼と同じくらい強く抱きしめる。

「……ううん。震えが止まったよ。いつもありがとうアキハイト。そばにいてくれて」

「魔王は全てを知覚する。だから決戦のこの時まで作戦を言えなかった。だが今ならもういい。これから一緒に戦うんだ」

「一緒に? でも僕」

「一緒にだワンカナ。二人でバラバラに戦うんじゃない。一緒に樹木の巨人で戦うんだ」

「え? どういう事アキハイト」

「魔術武装を展開していたのは魔王に対するフェイクにしか過ぎん。もう魔術を乱発してどうにかなる相手ではない。一つの魔術に全てをかける。全力を注いで最高に強化する。お前は樹木の巨人を召喚しろ。それを俺のパラディン魔術、神の騎馬で駆る」

「……ええっ?」

 ワンカナが驚く。アキハイトの顔を見上げる。

「で、でも、神の騎馬の魔術は船とか馬車とか、生物でない乗り物を駆る魔術でしょ。樹木の巨人は無理だよ」

「樹木の巨人は魔術で編み上げられた物だ。生命に似ているが生物ではない。だからきっと神の騎馬の魔術が使える」

「でもそんなの聞いた事無いよ。魔術に魔術を重ねる加算型の魔術は、自分の魔術にしか使えないはずでしょ」

「ああ。だがきっと大丈夫だ。俺たちは強い絆で結ばれている。気持ちを一つにすればきっと奇跡を起こせる」

「無理だって。そんなの失敗する。奇跡なんて起こせない。こんな凄まじい威圧を放つ魔王となんてとても戦えないよ」

 アキハイトの腕の中でワンカナは首を振り泣いて嫌がる。魔王の強大さに怯えている。隕石落下の魔術の相乗がたった首三本しか落とせなかったのだ。それより劣る破壊力の魔術でいくら戦おうが勝ち目は無い。

「大丈夫だ。ワンカナ。俺を信じろ」

「無理だよ。もう信じられない。アキハイトは魔王への恐怖でおかしくなっちゃったんだ。だからそんなあり得ない作戦を考えちゃったんだ」

「ワンカナ」

 アキハイトはワンカナの肩を両手で掴み、顔を近付けるとキスをした。

 ワンカナは目を丸くして驚く。しかしやがてゆっくりと目を閉じ、うっとりと甘いキスの至福に浸った。

 アキハイトが唇を離すと、ワンカナはぼーっと赤くなったままうつむく。恥ずかしくてアキハイトの顔を見られない。

「……震えは止まったか?」

「うん」

「もう恐怖でパニックになっていないな?」

「うん」

「俺の気持ちがお前と同じだとわかってくれたか?」

「……うん。ちゃんと言ってくれればいいのに。いきなりこんな」

「すまんな。俺は立場上お前への気持ちを何も言えない。だからこうするしかなかった」

「へへっ。不器用もそこまでいくとおかしいね。でもうれしかったよアキハイト」

「俺たちは同じ気持ちで結ばれている。ベイドとラズリのようにな。この強く熱い同じ気持ちならきっと一緒に戦える。お前の魔術に俺の魔術を加算するという奇跡だってきっと出来る。俺を信じろ。もう俺たちにはこれ以上の魔術など無い。これで戦うんだ。結果がどうなろうとも本望だ」

「もう。アキハイトったら。まるでもう思い残しが無いみたいに言わないで。僕処女のまま死ぬの嫌だよ。アキハイトのお嫁さんになるまで絶対死なない。君も絶対死なせないんだから」

「……ああ、すまんな。気弱な事を言ってしまった。だが大丈夫だ。二人で生き残る。絶対勝つ。その時は」

「その時は?」

「……ちゃんと、言葉にして言わせてくれ」

「……うん!」

 ワンカナはとても幸せだった。もういつ死んでも悔いは無い。交わりの喜びを知らなくても、アキハイトと気持ちで愛し合えた。もう十分だ。

 死ぬのが怖いのは、死ぬ時に後悔するのが怖いからだ。もう怖くない。いつ死んでも本望だからだ。

 もう満足した。もう幸せになった。でも生き残ればきっと、これ以上の幸せが待っている。

 だから死ねない。死なせない。ワンカナとアキハイトは強い目で見つめ合いうなずき合った。

posted by 二角レンチ at 23:09| ドルイド少女ワンカナ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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